三郎事件簿その3
「まいった。まいった」

(文責・ボーン助谷)

【注意!結構キモイ話なのでお嫌いな方、食事中の方はご遠慮下さい】

おとぼけキャッツは新曲が溜まったり、新メンバーが入ったり、ステージの構成を変える時等に、時期外れの避暑地やスキー場付近のペンション等を借りてよく合宿をしていた。ホントによく合宿をするバンドだった。

その時も美空ドレミ、近藤大(Key)と一緒に新曲の練習かねて、知り合いのツテを利用し冬の軽井沢合宿に行った。

冬なので利用者もいない別荘地の1棟を借り、廻りに気兼ねせず音が出せるのだが、さすがに寒い。水道は出しっぱなしにしておかないと凍ってしまうし、寝るときには窓側に敷いたフトンは凍っていた。当然三郎の寝場所になった。夜、風呂を沸かすのだが、さすがに寒冷地。密閉性が良いのがアダとなり、湯加減を見に行くと酸欠で火が消え、ガスのニオイが充満し爆発寸前の状態。狭い風呂場では10分もすると火が消えていた。何度も同じような状態になり、寒いのをガマンし少し窓を開け交代で風呂に入った。俺が入った時は結構後の方で湯船のお湯も少し汚れ始めており、短い毛等がだいぶ浮いていた。「ったくしょうがねぇなぁ」と思いつつ浮いた汚れを集め湯船の外に棄てた。冬場は利用者も無いので久しぶりに湧かした風呂釜の汚れが出て来たのだと思っていた。その日、ベロベロに酔っぱらった三郎以外は全員風呂で暖まって、湯冷めしないうちに寝た。

翌日は日本晴れで、朝飯を食って別荘地の雪景色にひたっていると、朝風呂から出て来た三郎が全身から湯気を立てながらパンツ一丁で気温0度以下の雪原の中を歩いていた。「風邪ひくぞ!」と思ったが三郎の事だ、みんな心配もせず大笑いしていると三郎が

「マイッタ、マイッタ鼠の死骸と一緒に風呂入っちゃったよ」
「なにぃ!死骸どうしたんだよ!」
「窓から外にほっぽっちゃったよ。なんか毛が浮いてるなぁ、きたねぇなぁと思ったらネズミの死骸が浮いてきやがんの。マイッタ、マイッタ」
「そういえば昨日風呂入った時に毛が浮いてたな?」
「冬場でエサもねぇしよぉ、風呂釜の中で凍え死んじゃったじゃねぇか?あぁ〜マイッタ、マイッタ」
こっちも昨日風呂に入ってしまっているので
「うわぁ〜!気持ち悪りぃ!三郎よく平気だなぁ?」
「しょうがねぇじゃん。最後に新しいお湯浴びたからなぁ。お湯全部抜いといたよ。しかしマイッタ、マイッタ」

本人は、話の内容ほど参っている素振りを一向に見せずに雪の中を歩いている。我々は雪景色に浸っている場合じゃない事は確かで、それから皆でオッカなビックリ風呂掃除をはじめた。風呂場の外にある黒い小さな物体も確認し「勘弁してくれよなぁ〜」といっても冬の軽井沢。夜は酒飲んで、風呂につからないと寒くて寝られない。ホントに「マイッタ、マイッタ」
でも合宿は何事も無かったかの様に順調に消化して行った。