三郎事件簿その1
「死んだらどーすんだよー!」

(文責・ボーン助谷)

当時、北陸(金沢、高岡、富山)ツアーに行く時には高岡「タムタム」のマスター新田さん(通称ターマス。現ペンション【シャモニール白馬】のオーナー)の家に好意で泊めさせて戴き、北陸周辺のライブを行なっていた。大きな家なのだが、多い時には10人程で1週間はお世話になっていた。我が物顔で8畳間2つを使わせてもらい、休みの日には居間でおばあちゃんと一緒に当時珍しかったビデオをコタツに入って見たり、納屋を改造したオーディオルーム(部屋の真ん中に井戸があり、夏場はスイカを冷やして食べたりした)で何千万もするステレオ装置を勝手に操作しながら、本棚のマンガを読んで過ごしていた。ターマスのお店でのライブ終了後、庭で恒例のスキヤキパーティーをしてもらい、居間で飲み会が始まった。いつもの様にカナリ盛り上がり、その時は三郎と透を残し、皆8畳間で早めに布団を敷き詰め寝た。と言っても午前1時は過ぎていたと思う。珍しく皆早めに床に着いたのだが、いつまでたっても三郎と透のバカデカイ笑い声で寝られない。2階でターマスの家族が寝ている事も有り、ダディが

「透!三郎!もう寝ろ!」

と声をかけると、ベロベロに酔っぱらった2人が寝ている連中を踏みつけ、ころび、大騒ぎしながらやっと寝床についた。毎度の事だが全く始末に負えない酔っぱらいである。静かになったと思ったら三郎の大イビキ!最初ガマンしていたのだが、その大きさも周期も変則的なイビキに、ダディがたまらず笑い出した。

「なんだコイツ?ギャハハ」

皆そう思っていたのだろう、全員しばらく笑いが止まらなかったが、あまりのウルサさに、ダディがイタズラ半分に三郎の鼻をつまんでみたところ、見事にイビキは止まった。と同時に息もしなくなった。10秒、20秒。いつまでたっても息をしない。ダディが

「あれ?息をしてないよ?コイツ死んだか?ウソ!」

と言いつつ1分が過ぎた頃、全身モガキ苦しみながら三郎が大きな早い必死な息をし始めたので全員大笑い。しばらくすると又大イビキをかき出した。鼻をつまむと息をしない。又全身でモガク。大笑い。これを何回かやって皆笑い疲れて寝てしまった。翌朝、何も覚えていない三郎に昨夜の事を話したら

「バカヤロー!死んだらどーすんだ!」

三郎あんたはそんな事じゃぁ死なないよ。全員がそう思ったハズだ。