Daddy竹千代

(文責・ボーン助谷)

彼との出会いは別項で述べたので、ここでは省く。メンバーは彼の事を愛情を込めて「怪人」と呼ぶ。Dr.スランプ「則巻千兵衛」のモデルでもあるらしい。

彼のプロフィール / 業績は他を参考にして頂くとして、彼の人となりを紹介していこうと思う。

多趣味、博学、能弁である事は確かでステージ上では、あの「カッカッカッ」笑いを伴うと【口から出任せ出放題】の様にみえるが、ほぼその通りである。私の知っている限り普段は気を使い、言葉を選んで喋るタイプ。若い頃から優しいオジさんである。

今ではにわかに信じる事が出来ないが、最初は酒が一滴も飲めなかったらしい。だが、「怪獣」なかよし三郎にかなり鍛えられたらしく、私が初めて会った頃には、すでに大酒飲みであった。運命の出会いであったのだろう。

彼は非常に暑がりで、三郎、マネージャーのブッチャー岡野と共に「アツガリ・でぶトリオ」を組織していた。覚えている限り、この3人が風邪をひいたと聞いた事が無い。対抗組織の「寒がり・痩せ組」は、旧ホテル関西の4人部屋に泊まる時に、誰を生け贄(必ず風邪をひく)として差し出すか毎回恐怖におののいていた。この温度差に関する数々のエピソードは順次公開して行こうと思う。

根がマジメな彼は、たちの悪いメンバーから結構豪快にからかわれダマされ、その度に激怒していたが、いつのまにかダマす方に廻って行った。人間成長するものだ。 物をよく無くすチャンピオンであった。が不思議と出て来る運の強さも持ち合わせていた。物忘れのチャンピオンは他にいる。

ファッションに無頓着なメンバーの中で知識は豊富にあったが、無頓着第1位の三郎にしょっちゅう「Daddy!だらしねえなぁ。シャツ出てるよ。シャツ!」とシャツの後ろだけがGパンからはみ出ているのを注意されていた。当時にしては1点1点は割と良い物をセレクトしていた。確かサイズは違うが私と同じBVDのブリーフを愛用していた記憶がある。当時のファッション総合力は中の下。

【おとぼけ】の曲は、ほぼDaddyが作って、ヘッドアレンジまでは1人でやっていた。練習量は多く、マジメにやっていた方だが、クセ者揃いのメンバーをまとめるのは大変で、ストレスも溜まっていたようだ。酒を飲みながらのミーティングで、ありがたい「お説教」を聞く事になるのだが、根がマジメな奴の正論はアンポンタン達には退屈で、鼻クソほじくったり、屁をこいて大喜びしていた。当然

「お前ら話きいてんのか!」

「かたいなぁ。聞いてるよ。ビール頼んでいい?」

「人がマジメに話してんのになんだ!その態度は!」

「いいじゃねぇかよぉ。Daddyもサッポロでいい?」

「ふざけんな!俺はキリンだ!」

てな感じで最後は大宴会になり、こんな中から随分ネタが出来て行った。好きな音楽、趣味が全く違うクセ者達をこうして巧くまとめて行ったんだと今更ながらに思う。バンマスはつらいね。

顔が広いのは見た目以上で「老若男女、上下左右、東西南北、表裏」人脈を広げて行った。記憶力も大したモノで、私が彼に知人を紹介して(私の特技でもあるのだが)その後、知人の顔も名前も忘れてしまっていると

「スケちゃん。○○さんに挨拶しなくてもいいの?」

と教えてくれる。頼もしい便利な奴である。